明日は明日のcoblog

徒然なるままに日々の由無し言をば。最近は某モバイル系IT企業で仕事中。

本は電車で読むだけのモノじゃない

先日、とある電子書店で興味のある料理本を見つけた。
 
が、電子版については購入意欲が全く沸かないもんで、その後Amazonで先の書籍を検索、とりあえずカートに入れておいた。
 
なんだかなぁ。
 

コレ、何も料理本に限った話ではないけど、こんな経験をした人は少なからずいるんじゃなかろうか。


なぜ電子版を購入したいという気持ちが喚起されなかったのか?
 
まずは以下のような理由がある。

1)その電子書店専用の電子書籍リーダーにマーキング機能が無い
2)その電子書店専用の電子書籍リーダーに付箋機能が無い

これらについては、その電子書店では現在紙版の書籍で可能なことが電子書籍ではできないということになる。


次に、以下のような理由もある。

3)その電子書店専用の電子書籍リーダーに本文中の文字列検索機能が無い
4)その電子書店専用の電子書籍リーダーにリンク作成機能が無い

これらは紙版の書籍では実現できないが、それ故、電子書籍に対して期待したいことでもある。だがしかし、その電子書店の電子書籍はこれくらいのささやかな(十分実現可能な)希望さえ叶えてくれない訳だ。

だが、これは何も電子書籍全体のことを嘆いている訳ではなく、より正確に表現すれば、その電子書店専用の電子書籍リーダーの機能不足に嘆いているのだ。


現状のように電子書籍リーダーが書店毎に異なるような状況では、いくらその電子書店で欲しい書籍を発見したとしても、書籍の再生方法が限られるために最終的に書籍の購入に至らないケースが結構出てくる。

とりわけ、実用書的な意味合いを持つ書籍を新たにラインナップに加える際には、その書籍が紙版で購入されていた場合の利用スタイルに近い形で、電子版でも再生可能な機能を電子書籍リーダーで用意するべきである。


電子書籍の場合、そのコンテンツ本体とは分離した形で様々な効果を紙面上で表現することができる、という利点もある。

例 えば学習参考書の場合、試験勉強の時には必要な箇所にマーキングをして使用し、必要がなくなればマーキングを取り除くことも可能である。理解しずらい説明 があれば付箋機能で補足を加えることができるし、それについても必要が無ければ取り除くことができる。ついでに言うと、付箋紙を購入する費用や手間さえもなくなる。


このようなことはあくまで一例ではあるが、そういう「使う側の気持ち」ってものも、書店が電子書籍リーダーを提供しているのであれば、少しは考えて欲しいものだ。
 
というか、少しどころの問題ではないんだけど。
 
 
電子書籍が中々浸透しない一つの理由として、実生活の中での電子書籍の使用イメージが多くの消費者に伝わっていない点もあるのではないかと考えている。そこらの役割を電子書店がもっと担うべきなのか、はたまた電子書籍リーダーの提供者が担うべきなのか、という議論はあるのかもしれないが、書店が電子書籍リーダーの提供者でもある場合においては話が明白である。

 

言いたいことは、


電子書店が、自書店の書籍を再生するための電子書籍リーダーを提供することにあくまで固執するというのであれば、電子書籍リーダーというものが電子書籍体験においてユーザ満足度を大きく左右する程の重要な要因であること、また、それを提供する責任の重さというものをもっと真摯に考えて欲しいということである。